私は、もともと新卒で日系大手メーカーに総合職で入社しましたが、
自分が「やりたいこと」を優先し、2021年春に、現職のベンチャーへ転職しました。
その転職先ベンチャーは、創業間もなく、フルタイマー数名のめちゃくちゃ小さな会社。
転職してから2年が経過し、私が思う、創業間もない会社のメリット・デメリットを整理してみます。
やりがいややりたいことを考え、創業間もないスタートアップ・ベンチャーへの転職を検討している
創業間もない小さな会社で働くって、実際どうなの?
そんな方は是非読んでみてください。
1. 創業間もない会社で働くことの「魅力」
まずは、2年働いてみて、前職の大企業とも比較をしながら「魅力」を整理してみたいと思います。
0→1フェーズに頻繁に携われる
これはイメージできる方も多いかと思います。
創業間もないということは、
会社としてやりたいこと・やるべきことはたくさんあるのに、まだそれを実現できていない、ということがほとんどです。
なので、高確率で、新規事業であったり、「事業」とは言えなくても新規「プロジェクト」にアサインされ、
「何かを初めてやってみる」という経験を多く積めます。
スタッフの人数にもよりますが、0→1フェーズの打席に立つ回数には、間違いなく期待できると思います!
ルールに「則る」のではなく、ルールを「作る」ことができる
前職が日系大手だったので、この点においてはギャップが大きかったです。
私は営業部にいたのですが、クライアントへの提案内容や、レギュレーション、提案資料というのは、
本社の頭の良い人たちが作ってくれて、それに則って営業活動をしていました。
ただ、転職後は、同じ「営業」でも、
・提案資料は存在しない、未整備
・サービス提供にあたってのレギュレーションも存在しない
といった状況がほとんどです。
今までは、本社から与えられたルールに則り、与えられたツールを活用した仕事でしたが、
それを0から構築する必要があるのです。
これは、全く異なる頭の使い方をします。
まるで、今まで使ってこなかった筋肉を、新たに無理矢理動かそうとするような、そんな感覚でした。
・こういう規定にしたら、こういう人のことはカバーできないよね、さあどうする?
・こういう案内をしたら、こういうことをする人が出てくる。じゃあこういうルールにしないと。
・この項目についても最初に触れておかないと、問い合わせが来てしまうね。
・・・こんな会話を常日頃繰り広げます。
得体のないものから得体を作っていく、積み木を1つ1つ丁寧に緻密に積み上げていくようなイメージです。
会社へのオーナーシップを持てる
前職にいた時は、組織自体が大きく、別の部署が何かを成し遂げた時も、「へ〜そうなんだ」ぐらいの関心でした。
ただ、これが、数名の会社になると、会社として何かを成し遂げた時は必ず自分も一枚噛んでいるはずなので、
会社が為すこと全てに、愛着や当事者意識を自然に持てるようになります。
また、
・もっと会社全体の売上が上がるにはどうしたら良いんだろう
・もっと会社の認知を広げるにはどうしたら良いんだろう
といった、会社全体を俯瞰して考えることができるようになります。
舵取りは「誰かがやってくれるもの」ではなく、
「自分自身も一緒に舵を握っている」「さあ次はどちらに舵を切る?(自問自答)」といった意識(=会社に対するオーナーシップ)を自然に持つことができます。
志の高いメンバーに囲まれて働ける
大きな会社にいませんか?大して仕事もしていないのに、給料だけは高い、ベテラン社員。。
私は前職でそんな人をたくさん見てきて、その度に嫌気が差していました。
創業間もない会社には、そんな人はいません。
もっというと、「大した仕事もしていない」という状況は、何人にも許されません(笑)
会社の成長や存続のために、一人一人がバリューを発揮し続ける必要があります。
また、創業間もない会社にジョインするということは、
本来もっと大きな会社に入れば得られていたはずの報酬を投げ打って決断している人がほとんどなので、
基本的にみんなそれぞれに志があります。
そういった同志のみに囲まれて仕事ができる、というのも魅力の一つだと思います。
2. 創業間もない会社で働くことの「悩み」「難しさ」
「魅力」ばかりではありません。
創業間もないからこその、様々な「悩み」「難しさ」を抱えながら働いているのも事実です。
そのあたりを正直に書いてみようと思います。
とにかく年間通じて忙しい・・・フルマラソンしている感覚
まず、忙しいです・・・(泣) これは例外なく言える話だと思います。
なぜなら、会社を成長させるために、やるべきことはたくさんありますが、なんせ人が少ないんです。
なので、必然的に、1人1人への負荷は大きくなります。
前職でいうと、3つぐらいの部署を掛け持ちしている感覚ですね。
提供するサービスや商品にもよると思いますが、基本的に「閑散期」というものがないです。
後から振り返って、「あの時は今ほど忙しくなかったな、多少は余裕あったな」と思うことはあると思います。
ただそれは、比較の話であり、その渦中にいた時に「余裕あるな」と思うことはない、ですね。。。
会社を成長させるためには、多くのやるべきことがあります。
それらを実行するためには、年間通じて常に走り続けている感覚です。
(もちろん、隙をみては休暇をとっています!!)
報酬からのモチベーション維持はできない
上記で書いたような忙しさが年間通じてあるのですが、労働時間・負担の割に、給料は低いです。
売上が大きくないので仕方ないですね。
「みんなの給料が上がるように、みんなで頑張って売上・利益を増やす」
創業間もない会社ではそういう思考が求められます。
給料が低いとどうなるか。
忙しいと、やっぱり心労は溜まりますし、自分よりも短い労働時間で高い給料を得ている人を見た時に、羨ましいと思ったりもします。
そうなった時でも、
「でも自分はやりたいことができているからこれでいい」「他の人ができない経験を積めている」など、
自分の働き方に納得ができるのかどうか、はすごく重要です。
逆にいうと、報酬や労働環境などの外部要因ではなく、自分自身の志や価値観によって、モチベーションを生み続けられないと、
「報酬・労働環境」と「働きがい」のバランスが崩れ、その会社で働き続けることが難しくなってしまいます。
社長の意志決定に翻弄される
これも、創業間もない会社に転職したから知れたことです。
会社の規模が小さいということは、大企業のように、社長からスタッフまでの間に職位があまり存在しません。
私の場合は、社長 > ●●リーダー > 私 で、せいぜい間に1名いる程度です。
通常、大企業では、社長が鶴の一声を唱えても、現場の社員に届く前に、
ブロックの統括者や部署の統括者によるスクリーニングが入り、
多少なりとも現場の実情に合わせて、受け取りやすいように翻訳されていることが多いのでは、と思います。
(具体的には、目標や、部署間の役割分担や、現場オペレーションの大枠等が決められた上で情報共有されると思います)
逆に、私の会社のように、社長から現場までの職位がほとんどない会社だと、
社長の鶴の一声が、ほぼほぼ直に伝わってきます。
社長が思い描く構想というのは、得てして、概念的で理想像なものが多いです。
それを実務に落とし込むのは、そんなに簡単な話ではありません。
また、現場のマンパワーに関係なく「必要だからやる」とねじ込まれることも。。。
ですので、経営判断や構想に触れられる機会が多いことをポジティブに捉えることもできるのですが、
実務面においては、翻弄されることも多いです。
マンパワー不足の課題は尽きない
創業間もない会社というのは、資金的な体力がありません。
なので、どうしても雇える人数が少なくなり、ギリギリで回そうとします。
そうすると、誰か1人でも体調不良で仕事を休んだら、残りの人への皺寄せは大きいです。
(同僚がコロナになった時は大変でした。汗)
普段がギリギリなので、1人でも欠けると、正直かなり大変です。
3. こんな人が合っているのでは
上記を踏まえ、創業間もない会社への転職にあっている人はどんな人なのか、考えてみました。
その会社でしか実現しえない「やりたいこと」がある
「悩み」でも書いたように、報酬や給与水準には期待ができません。
そんな環境下で、ではどうやってモチベーションを保ち続けるのかというと、
その会社でしかなしえない「やりたいこと」「やりがい」があり、
そこに自分が納得できているかどうか、なのではと思います。
一度、厳しい環境で揉まれてみたい
創業間もない会社では、自分たちで新たなものを作り、ルールを構築し、ハードワークすることがほとんどです。
忙しく、時には心労も溜まりますが、それを成長環境として捉えることもできるでしょう。
キャリア形成の一環として、そういう「武者修行」も経験してみたい、自分の力を試してみたい、
という人にはいいかもしれません。
その会社でどんな経験・スキルを得たいか、明確な目標がある
創業間もない会社への転職は、激務であることがほとんどです。
無我夢中で走り続けていたら、自分の業務の振り返りやスキルの棚卸しをしないまま、気づいたら半年、1年経っていた、、ということも往々にしてあると思います。
これは、スタートアップでも、中小企業、大企業それぞれに言えることだと思いますが、
次また転職する可能性がゼロではないことを考えると、
自分がその会社でどのような経験を積み、どんなスキルを得たいのか、を明確に決め、その吸収をすることが、
来る転職のタイミングで活きてくると思います。
ましてや、創業間もない会社は、存続すること、働き続けることが、
中小企業や大企業勤務と比較して確率が低いことがほとんどだと思います。
そんな時、転職市場で胸を張って自分をPRできるように、
自分が得たい経験やスキルを転職前に明確にしておくことが大事かなと思います。
以上、いかがでしたか?
どんなキャリアにも、魅力と悩みはつきものだと思います。
少しでも私の体験談がお役に立てると嬉しいです。